歴史からみた貨幣と金融

 

【解題】

  ICTの飛躍的進化に伴って、貨幣のみならず、金融も日進月歩の進化を遂げていると言っても過言ではない。かつてR・ヒックスは、貨幣理論は分析的だけでなく、歴史的にも研究されなければならないと述べた。その理由の一つとして、貨幣に関する最も優れた著作はすぐれて時局的、すなわちその時代に起きていた重大な問題の解明に挑戦したものであったということである。もう一つの理由としては、貨幣そのものが進化し、貨幣理論が根本的修正を迫られたということである。現実の制度が変わるにつれて、理論も変わらなければならなかった。このことは金融理論または信用理論にも妥当する。理論と歴史は常に往来されなければならない。たとえ偉大な古典であったとしても、その理論が歴史と往来できないものであれば、現代に活かすことは極めて困難であろう。

  以上のことを念頭に置いて、2022年度秋季大会では「歴史からみた貨幣と金融」という共通論題を設定した。いみじくも信用理論研究学会2022年度春季大会の共通論題である「MMT の理論的構造の再検討」と連動した形になっている。今大会も前大会と同様に、活発な議論が展開されることを祈念してやまない。

2022年度秋季大会開催担当 前田 直哉 (神戸松蔭女子学院大学)

 

報告者


田中 英明 (滋賀大学)

商人のネットワークとクラブ型

組織の形成する決済・信用機構
アムステルダム・システムから

  ロンドン・システムへ

高橋 秀直 (筑波大学) 

1907 年ドラゴ・ポーター条約の

「経済的機能」の再検討
―国際的外貨建て債券市場における

  ルールの変化―

鎮目 雅人 (早稲田大学) 

 日本近現代史からみた信用貨幣


御礼


大会は無事に終了いたしました。

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